変化に仕掛ける―AI時代を生き抜く
"社長の挑戦"
株式会社天晴データネット 代表取締役社長 
福井県特命COE(チャレンジ応援エグゼクティブ)
西川孝盛 
AI時代の波に、私たち中小企業経営者はどう立ち向かうのか?
 P銀行など金融機関向けのソフトウェア開発を得意とする天晴データネット。ChatGPTをはじめとする急速な技術革新にどう"仕掛けて"いくかという実践的な視点から、自社の経営を語っていただきます。
 AI・DXの導入、100%新卒採用による人材育成、フィリピン子会社の設立など、変化の時代をどう乗り越えてきたか。
 変化に柔軟に向き合いながら、社員とともに"正面突破"で挑戦を続ける西川社長の経験から、多くの気付きが得られるはずです。
                     【紹介文/福井精米㈱ 樋田 晴華】
第1章:僕の経営ヒストリー
1
プログラミングとの出会い
丸岡町出身。13歳でプログラミングに出会い、PC-9801を使って印刷出力に感動し、「これを仕事にできる」と直感。
高校では情報処理を学び、15歳から実務へ。応用情報処理技術者試験に日本最年少で合格。
2
現場での経験
大学進学は選ばず、現場へ。Unixカーネル開発など高度な技術に触れ、効率化と美しさを追求。
24歳で共同創業。開発力で勝負する仲間と共に、天晴データネットを創業。
日本初のネット専業銀行(現P銀行)の中核システムを開発。技術で社会を支える実感。
3
グローバル展開
人手不足と未来への備えとして、フィリピンに子会社設立。現地の発展と可能性を感じる中で「建てた後」の運用に注目。IoT活用ビル管理システム「iBMS」を開発。
4
地元への回帰
50歳の節目で「本当の地元貢献とは?」を問い直し、ZenStayなど地域密着型事業に着手。
第2章:時代が変わる、仕事が変わる
今回は過去2度のAIブームと違う。クラウドに向かって分かりやすいインタフェースで誰もが扱えるようになったことが、本質的な違い。
社員全員にChatGPT Plusを支給(年間500万円投資)。
全社的にAI活用文化を醸成。
SNS更新、会議議事録、翻訳作業など、日常業務へのAI導入により、小さな変化が積み重なり、生産性が向上。
実績:残業率10%減少、利益上昇、年間7000万円のプラス効果。
AIなしには戻れない実感。
AIによってなくなる仕事(事務職・レジ業務・初級プログラマーなど)と、残る仕事(創造性や接触性が求められる仕事)の違い。
第3章:AI・DXの現場で起きていること
コミュニケーション改革
社内メールを完全に廃止し、チャットツールを中心としたコミュニケーションへ移行。これにより社員間のやりとりが格段に迅速化し、組織全体の活性化に成功。
さらに、フィリピン子会社との連携強化のため自社開発の自動翻訳プラグインを導入。言語の壁を越えた円滑な協働体制を実現し、グローバルチームの一体感を創出。
ChatGPTの戦略的活用
ChatGPTを単なる補助ツールではなく、創造的パートナーとして位置づけ。議事録作成から企画立案、プレゼン資料制作、契約書テンプレート作成、さらにはコードレビューまで、業務全般で創造性と効率性を飛躍的に向上させる原動力に。
第3章:AI・DXの現場で起きていること(続き)
自律型DXへの挑戦
DXを「人が主役」で推進するため、クラウドサービスへの依存を回避。代わりにオープンソースソフトウェア(OSS)と社内サーバーを組み合わせた独自の仕組みを構築し、外部ベンダーへのロックインリスクを最小化。これにより、社員自身が理解・改善できる自走型のDX文化を醸成。
社長自らが先導する直轄プロジェクトとして、IoT活用ビル管理システム「iBMS」に加え、次世代AI統合システム「TAIA(Tensei AI Agent)」を開発中。社内に蓄積された専門知識をAI化し、利用者の権限に応じた最適な情報提供を実現。さらに、基幹システム(ERP)との連携による業務の自律的実行も視野に入れた革新的取り組みを推進中。
第4章:VUCA時代に効く"六方よし経営"の実践
近江商人が商売上手だった理由は三方良し。売り手、買い手、世間がそれぞれ満足していると、長期的に事業を継続できる。
現代では元国連職員の田瀬和夫氏が提唱した、六方良しに細分化すると解像度が高まる。
顧客
お客様のお客様視点での製品開発
高品質
社員
3年連続ベア+定昇=20%+
多様な福利厚生
家族
給与言葉、イベント招待
扶養手当一律1万円
未来
シンママ支援、若者機会提供
国際大会招致、武道館チャレンジ
地域
産学連携、ITラボふくい
国際大会招致、ZenStay
取引先
明朗契約、迅速支払い、共育体制
第4章:VUCA時代に効く
    "六方よし経営"の実践
1
リモートワークの活用
コロナ禍を転機に、整備済みだったリモート環境を活かし、東京の仕事を地方で遂行。お客様の理解が進んだおかげ。
2
ビジネスモデルの転換
SI型に加え、サブスク型のDX事業へ進出。20%サブスク売上で社員が1日"遊べる"体制をつくり、学びが仕入れという発想を徹底。
3
グローバル展開
フィリピンを起点に、ベトナム・台湾と展開。英語圏での展開により、アメリカ・欧州からも案件獲得。逆流(海外→日本)商流も見据える。
iBMS開発を通して、自社の開発力を再認識。逆に営業力不足を認め、信頼できる海外パートナーとの分業体制を構築。
4
経営計画の実践
第7次経営計画(3年スパン)。役員主体で立案、社長はアドバイザー。Vision/Mission/Valueを基軸に55のActionを各部署で定義。
経営計画→部門Action→個人OJT目標のOKRを紐付け、毎月のマネージャー会議で進捗確認。
半期に1度は社長が全社へ報告し、言いっぱなしにしない文化を定着。
第5章:これからの社長に求められること
「未来を予測する最良の方法は、未来を創ること」 - ピーター・ドラッカー
仕掛ける力
  • 「決める」だけでは変化に対応するだけ。「仕掛ける」ことで変化を生む。
  • 例:社内での短編映画制作プロジェクト。反対派との対話を通じて推進力へと転換。
  • 例:ナビ系採用を廃止。「ITラボふくい」や「弾丸ツアー」などオリジナル企画。
学び直す力
  • 最も重要なのは「学び直せる力」。年齢や立場に関係なく、未知の分野を学びに行く謙虚さ。
  • 若者や社員からも「学ぶ」ことができる社長であること。
  • 世界最高峰の教養を手軽に学べる時代。社長こそ1次情報の宝庫たれ。
  • 例:海外進出ではその国の会社法・労働法・税法を原文で、iBMS、TAIA、心理学
人材活用の力
  • 今も昔も「ヒト」が重要。ただし戦い方は変化している。
  • 昔:一致団結→目標決定→ピラミッド→歯車実行
  • 今:異なる強味→課題発見→相互補完→瞬発的実行
  • 例:社内チャットに自己紹介ページ、勝手にインスタ部活、Udemy無償提供、副業応援
社長とは、変化する仕掛けを創り
社員と共に進化していく役割である
このプレゼンは、講演目的を投入したChatGPT4oをインタビュワーにし、インタビューに答えながら原稿を作成
マークダウンをダウンロードし、AIプレゼン作成のGammaにて、いい感じにスライドを自動生成しました。作業時間4時間。
グループ討論
テーマ:自社内にどう仕掛けるか?
  • キーワード「仕掛ける力」を、自社の中でどう実践するかを考えよう。
  • 成功でも失敗でもOK。現場でのリアルな気づきを共有してください。
グループ討論
Q1. 社内で仕掛けた経験、ありますか?
  • 社内の制度・仕組み・文化・働き方で「仕掛けた」ことは?
  • なぜそれを仕掛けたのか?
  • 社員の反応はどうだったか?
Q2. 社内で仕掛けられていないことは?
  • 本当は仕掛けたいのに、出来ていないことは?
  • 何がブレーキになっているのか?
Q3. 明日から“小さく仕掛ける”としたら?
  • 社内に向けて、どんな一歩が考えられるか?
  • 「0→1」ではなく「0→0.2」の発想で考えてみましょう。
発表コメントのまとめ方
  • 「○○を仕掛けたい」という声があり、「△△から始めてみよう」という具体策が出ました。
  • 正解はありません。討論したこと自体が、明日への"仕掛け”です。